Degustation(シェフおすすめメニュー)
ある日仕事が終わって店で飲んでいた時のこと、日本昔話の話題になった。。
副料理長「桃太郎の話分かるか?」
私「動物が誘拐されて鬼に売られる話」
社長「じゃあ、浦島太郎は?」
私「キレイなねーちゃん目指して行った竜宮城で強制送還にあって亀に陸まで戻されて、その上ペナルティーでじーさんにされた話」
副料理長「金太郎は?」
私「金太郎はふなっしーみたいなキャラクターなだけだから話なんてない。大昔の国民的アイドル」
社長「お前の頭がペナルティーだっちゅうの」
だから話を振って欲しくないのに。
このブログ、こんな自分が書いてます。。これが最後かも。。
マジメトーク入ります。
さっき登場した我らの社長、かなり厳しい。試食に対して容赦ない。まぁ、だからこそ褒められた時はうれしいのですが、、、
ところで、どれだけの人がレストランに行って思わず料理に集中してしまった。。とか、ず~っとココロに残る料理というものを体験したことがあるだろうか??
現在私たちキッチン内では新メニューでバタバタ。もうすぐバレンタインデーだから!
あるシェフが試食を社長に出した途端、、「何だかいつも同じだねぇ~。バレンタインコースだよ!もっとLovelyにならないの?あのさ、コースって美味いものの寄せ集めじゃあないんだよ。これならメニュー変えないほうがまし!時間の無駄!!ちゃんと構成練っていかないとさぁ。」社長、声大きい。。
Degustation (シェフのおすすめメニュー)
Degustationは英語でTasting、一つ一つのディッシュは少なめで日本料理で言うならば日本懐石料理にあたるのかな?そのシーズンやテーマなどを意識しながら、お客様をシェフからもてなしたいと言う思いも込められたメニューである。
その内容は店によって様々であり特にルールのない料理の世界、その店の特徴・その店のシェフの特徴がそのまま表現される。
コースメニューの構成
これが結構大変な作業の第一歩。というのはこれがしっかり出来ていないと社長が言ったように「ただの皿の寄せ集め」コースになってしまうから。
コースというのはこの言葉如く「流れ」というものが存在する。コース料理の食べ始め~食べ終わりまでにかかる時間が平均約90分。その間に出てくる一つ一つにつながりがないと一品ずつサービスする意味がなくなってしまう。
つながりがあると人は抵抗することなく次から次へと出てくる料理を受け入れやすい心境にさせるという。
単品メニューを考える時も、その皿の上では関連性を大事にしろと料理長に教わった。ただ料理を良く見せたいという思いだけで、バラバラの食材を使うと味覚上でもバラバラで美味しさが伝わらない。
そしてその上での印象、インパクト。
料理にインパクト
シドニーである有名レストランのDegustationは、3つの野菜が挙げられてそれをいろいろな形へと展開させていく。
例えばスープになっていたり、オントレーでは魚のガーニッシュ(つけあわせ)になって、メインでは肉のソースになり最後にデザートでムースに入っていたり。初めのスープが出る前にその様な説明があり、なので自然とおしゃべりよりもその店にいる間は目の前に出てくる料理に集中する。
もちろんおいしいし、それ以上にインパクトがある。通常は料理の味の中にインパクトを求めがちだけどこういう形もあるんだと、その時に知りました。
味覚の記憶=感情の記憶
人間が何かを記憶する時には感情が伴います。
嫌いな食べ物に対してその理由を尋ねると、大概の人は「小さい頃に・・」「前に食べた時に・・」と経験を通してその時の感情が伴っているんです。
ということは、、記憶に残る料理とはポジティブな感情、即ち感動と伴にある、、ということになります。ちなみに感動とは嬉しい・楽しいなどから引き起こされる感情の最高値!
先程書いたレストランのインパクトの表現方法は次から次へと姿・形が変化して行くとに対して、おもしろくて感動したので心にいつまでも残っているんですね。
もちろん、このレストランはシドニーでは大人気!
というわけで、どの店もお客さんにどう感動を与えようか、どのような形でインパクトを料理に盛り込んでいくか、必死に考えてるんですよ~
今度ぜひDegstationをオーダーした時に一瞬でも、そのレストランのもてなしを感じてみて欲しいです。